2018年7月10日

今は大丈夫です

保健師さんとの面談の日の朝。

Mは家を出て行くと言いました。

 

俺は昼すぎに帰ってくることをMに伝えてひとまず会社へ。

 

Mはどうるすつもりなのか。

宣言通りに出ていったか。

それならそれでいい。

相当嫌がっていたから自殺でもしてるかもしれない。

などと考えながら、昼過ぎに家に戻りました。

 

家に入ると、家の中が片付いていました。

Mはテレビを見ながら

「2時間くらい外出してくるから、あとはよろしく。」

と訳のわからないことを言いました。

 

お前がいなきゃ意味ねーだろ。

こっちはわざわざ会社を中抜けまでして

お前につきあってやってんのに、

ふざけんな。

 

「だから、家から出ていってもいいけど、

そうしたらもう2度と家には入れないからお好きにどうぞ。」

俺は淡々と言いました。

 

「それからそのTシャツ穴あいてるから、着替えて。」

と言うと、Mはしぶしぶ着替えました。

Mは出ていくことは辞めた様子でした。

 

面談の時間になり、保健師さんが家に来ました。

Mはいの一番に

「こんな俺のためにわざわざすみません!」と先手を打ってきました。

そして、ハキハキしゃべる社交的な人間を演じ始めました。

 

本当にすみませんと思ってんのなら、

20年も引き蘢ってんじゃねーっつー話。

 

Mは保健師さんからの質問に答えながら、

歯が無くて言葉がうまく発音できないから面接に受からない。

糖尿病で疲れやすい。めまいがする。なので仕事を選んでいる。

ということを懸命にアピールしていました。

 

しかし、どれも20年も無職だった理由にはなりません。

歯が抜けたのだって、糖尿病だって、最近のことじゃないか。

保健師さんはそんなのお見通しだ。

 

最後に保健師さんは

「保健センターに精神科の先生が月に1回来る日があるのですが、

よかったら一度先生とお話をされてみてはいかがでしょうか。

専門医さんに診てもらうことによって、前向きに考えられるようになったりします。

すぐに予約が埋まってしまうので、Mさんの為に一応仮押さえしてありますが、どうしますか?」

とMに聞きました。

 

Mは

「今は大丈夫です!」と高らかに答えました。

 

「今は」ってなんだよ。「大丈夫」ってなんだよ。

全然大丈夫じゃねーから、こんなことになってんだろうが!!!!

 

俺は保健師さんをマンションの外まで見送りました。

精神科の先生との予約はそのままにしてもらいました。

「精神科の先生に診てもらえたら、精神病と診断されるかもしれません」と保健師さんは言いました。

いっそのこと精神病ということになったら、障害者枠で就職できるかもしれません。

保健師さんはMのことを「なかなかてごわい方ですね。」と言い残して保健センターに帰っていきました。

Comments

1 thought on “今は大丈夫です

  1. で、どうなったの? ネタ切れなの? 事件化してそれどころじゃないの?
    正直、ネタ感満載で疑惑のブログとなりつつあるが、ありえなくもないよな…

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